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映画「クラウドアトラス」感想 ※ネタバレ有

めっちゃ面白かった!もっと早くに観たかった。

・泣いたのは音楽家の最期

・印象に残ってるのはソープ工場。

一番絶望的な状況ってなんだろう、と考える時がある。

「クローンを働かせ、その死体を食べさせ、栄養源にする。共喰いさせる」というのは、ありがちといえばありがちなのかもしれないけど、普段無表情なクローンたちが、少し嬉しそうな顔で出て行く先の、あの雰囲気。

日本のお話の中の、生贄になる前のお祭りのようなあの感じが良い。

・私がなんでこの映画をずっと見れたかというと、お話が複数あったことと、その時系列が揃っていないこと、語り手が複数いること、そのお話が単純なリンクでないこと(ソンミ神とソンミのお話は「ソンミ」というワードが繋がってるけど、他の話は必ずはリンクしていなかったり)

脳は不条理を無視できない、と聞いたことがあるのだけど、サスペンスをうっかり見だして止まらなくなるのは、「謎」を無視できないんだろう。

・歴史的な背景も面白くて、いつから私たちは序列をおかしいと言えたのだろう。

親に反抗しても後ろ指を指されないようになったのだろう。

同性愛の人が作ったものを正当に評価できるようになったのだろう。

私が結婚より仕事がしたいと言えるのも、好きなファッションが出来ているのも昔の人のおかげだ。

それこそ、大海の中にしずくを落とすようなものが結実した結果なのだろうなと思う。

・最近思うのは、こういう救いのないような(一見だけど)ものの、最後が孤高で終わらないことだ。

私の偏見だけど、今までの映画だと、最後パートナーがいなかったり、悲劇を悲劇のまま終わらせる傾向があった気がする。

でもはじめの語り手のおじいさんの前には孫たちがたくさんいるし、編集のおじいさんも初恋の人と結ばれている。

悲劇がずっと好きだった。

でも「一流のものは日向を向いている(北村薫「空飛ぶ馬シリーズ」)」って本当だと思う。

あとは、世の中が暗い時にアイドルが流行るように、孤高に浸れないくらい世の中のテンションが低いのかもしれん。

・同じ役者さんのいろんな面が見れるのはとても楽しい。いろんなハルベリー、でもどれも美しい。

日本の役者さんでもやって欲しい。

・自分が見殺しにした風景と同じところで、助けてくれたところがとても熱い。実際に助けてくれたこと、自分が出来なかったことをやってくれたこと、二重に救われる気がする。

・未開の地とSFが交差するのもよかった。

・容赦無く人が死んでいく。登場人物はみんな辛いこと、裏切られたことに立ち向かっていく。

その怒りが明快だから、どの組にも揺さぶられてしまう。気持ちが回収できないうちに新たな時空に放り込まれる。

・カットが繋がっている。最後のソンミからの医者のカップルに繋がったのは、生まれ変わりを示唆している。ほれがうるさくなくて良い。