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空白の書の持ち主たちへ

グリムノーツというゲームがある。

この世界の住人は、みんな生まれながら、「運命の書」を持っている。

赤ずきん」なら「赤ずきん」の運命の書、狼なら狼、おばあさんならおばあさんの「運命」をなぞるように生きていく。

自分の運命を知っていることの葛藤と、それでも運命に従うキャラクター、運命に刃向かうキャラクター、色々いる。

でも、主人公たちは、なんと、その世界で「運命の書」を持たない。

「空白の書」というまっさらなものしかない。

それはこの世界では異端である。

運命を呪うもの、刃向かうものはいるが、道筋のない辛さは、それとは別だ。

この主人公たちは、今の私たちに近いのだと思う。

就活をしていた時に、「もうここに行けって誰か言って欲しい」という呟きを聞いた。

私が言ったのかもしれない。

やりたいことが明確にない人は、誰しも味わったことがある気持ちじゃないだろうか。

真っさらな人生のノート。

それが自由ではなく、空虚なものに見えるかもしれないけど、間違いなく、自由なのである。

ゲームの世界に生きていない、ストーリーテラーがいない私たち。

驚くことに主人公は私だという。

宝くじに当選はしないけど、主人公には選ばれたらしい。

空白の書が怖いなら、どんな運命の書がいいか、描くことから始めたらいいと思う。

自分が神なら、ストーリーテラーなら、監督ならどんな役がいいか、どんな世界がいいか、どんな明日がいいか。