ネイルが好きな理由。そのお話。

私はネイルが好きだ。

 

何が好きかって、爪が丈夫になることが一番好きなのだと思う。

 

私の好きなジェルネイルは、爪に樹脂をのせ、

硬化させるもの。

 

それは爪に負担をかけるので、

正確に言えば、爪を弱らせているのだけど、

仕上がった硬い塗装は、水を弾き、

タイピングもしやすい。

 

なのに、見た目は可愛くて綺麗。

 

疲れた時に、PCをする時に、

じっと手を見る。

手の平ではなく、甲の方を眺めて

「あー可愛い」「あー今日も爪は完璧に綺麗」

 

1分でできるリフレッシュ法。

プロによって整えられ、

飾られ彩られたネイルを眺めるのは

至福の時間とまでは言わないが、

暇つぶし、気分転換には十分。

 

一番好きなのは「丈夫になること」と言ったが

デザインだって好きだ。

 

ネイルのデザインにはトレンドがある。

鏡のように反射するミラーネイルは、

ベースのジェルに金銀の粉を振りかけて拭うと出来上がるなど、

工程も楽しいものだった。

 

押し花ネイルは、「押し花」というノスタルジックなものを、

爪に閉じ込めるのがうっとりする。

 

文字通り、爪の先のほどの大きさのお花が、

乾燥されているのも、ときめく。

 

新しい手法や柄の流行もあるが、カラーの流行もある。

春はパステル、夏はビビッド、

秋はヌーディ、冬はイベント。

 

その傾向から、春はピンクや淡いイエロー、

パステルなグリーンなどを選びがちで、

自然、デザインもかわいらしいものが多い。

 

夏は普段しないような鮮やかなオレンジやピンク、

マリンテイストならブルーと、意外に強い印象を出す白。

デザインも攻めた大きめの石や、

普段しないストライプなど派手目な柄にチャレンジできる。

 

秋はおしゃれの秋。

秋の間に、こっくりしたベージュ、

濃いめの赤はどうにかやっておきたい。

このカラーは手を美しく見せるし、

「大人の女性」らしさも演出できる。

 

冬は、クリスマスとお正月がある。

クリスマスはどんなネイルで過ごすか。

年を越すネイルはどのようなものにするか。

どんなネイルで新年を迎えるのか。

派手なイベントが多い冬は、ネイルにもお金をかけたくなる。

 

冬にしか似合わない、ニットの質感を出したネイルや、

その寒さのまま寒色を使いたい。

薄めのブルーから、徐々にパステルのグラデーションをつけ、

春に向かう。

そんな1年の軌跡すら、楽しめてしまう。

 

ネイルが保つのは約1ヶ月。

1ヶ月、自分とともに過ごすネイルのデザインは重要だ。

爪先は、誰よりも自分の目に触れる。

気に入らない仕上がりになってしまうと

見るたびにテンションが下がってしまう。

気に入らない指輪をずっとつけているようなものだ。

 

しかし、その反面、1ヶ月で取り替えられるものでもある。

洋服のように残るものでもない。

「ちょっとやってみたい」そんな願いを叶えられる気軽さもある。

 

私はネイルに限らず「デザイン」が好きだ。

グラフィック、パッケージ、装丁、雑誌のレイアウト。

 

だけど、ネイルのデザインは自分のためだけに選べる。

お店に行けば

「今はこれが可愛いですよ」

「この季節ならこれですよ」と

無責任に、自由に、楽しく選べる。

 

子どもの頃、「この中だったら、どれが一番好き?」と

意味もなくチラシや雑誌から、

「いっせーのーで!」とセレクトして遊ばなかっただろうか。

 

用途や似合う似合わないを判断しなければならない服よりも、

無責任に自由に、童心に帰れるような気がするのだ。

 

色見本もあり、ラメがかったものや、パールがかったもの、

マットテイストの違いもある。

そもそも、単色ひとつ取っても、お店や、

カラーを作っているメーカーによって差がある。

 

カラーを選ぶときは真剣になってしまう。

質感によって、安っぽくなったりするからだ。

実際はそんなに変わりはないのだろうけれど。

 

私はネイルサロンの違いや、ネイリストさんと話すことも好きだ。

 

最近のネイルサロンは雑居ビルの中にあることが多い。

ネイルサロンがなければ行かなかっただろう○○ビルの4Fや6Fに、

ネイルサロンがある。

 

無機質なドアを開けると、白、ピンクを基調とした空間が広がる。

広いお店もあるが、こじんまりとした空間にネイリストとお客さんが

所狭しと座っているお店もある。

 

個人でやられているお店だと、マンションなどの場合もある。

そこは企業よりも、プライベート感があり、

知らない人の家に上がり込んでいるような錯覚もある。

 

ネイリストさんは、もう本当に色々な人がいる。

 

私が前にリピートしていた人は、

「カニを○○に食べに行った」だの

「友人とその子どもと旅行に行った」だの

あまり恋愛や美容の話をしない人だった。

私はそういう方が気楽なのだ。

 

その人の技術も好きだった。

「厚いネイルは保ちもあまり良くないし、可愛くない」

と薄く仕上げてくれた。

 

実際、長く保つことも多く

○○さんのネイルは保ちがいい」と褒めるのだが

いつも「ジェルが合っているんですね」と

謙遜でもなく、答えるその人が好きだった。

 

東京に来てからは、あまりサロンで話さないような気がする。

話すのは関西特有なのか、最近のサロンの傾向なのか、

私が選ぶサロンがそうなのか。どれもな気がする。

 

私が「ゲーム会社で働いている」という話から

「息子がソーシャルゲームにハマって困っている」と

愚痴ってきたママさんネイリストの人もいたし、

「ラインは既読が3時間以内につかないと無理」という

恋愛において、束縛しがちなネイリストさんもいた。

 

大体は、当たり障りのない話しかしないが、

その中でも「沁みませんか」「痛くないですか」と

気を遣ってくれたり、選んだデザインやカラーを褒めてくれたり

そういった気遣いの交換も好きだ。

 

最近、定額の安いところに行くと、

とても機械的で驚いたことがある。

 

ネイルのオフは基本機会がやり、

ラインストーンなどはシール。

誰でもやれるようになっている。

 

まるでベルトコンベヤーに乗っているように

施術されて行く。

ネイリストさんとの会話はなく、

モニターにクイズや情報が流れる。

暇つぶしはこれでしてくれという意味か。

 

だが、そういうのが嫌かというと、

それはそれでSF感があって嫌いではない。

 

トレンドにも値段にもうるさい女性の爪を

1ヶ月ごとに更新するために、

ネイルサロンは今日も犇めき合っている。