北村薫「野球の国のアリス」感想

 

本の中で、キラキラ輝く一節があった。

女の子だけど、野球が好きなアリス。

敵の選手に「ピッチャーが女か」と言われた時に五堂が反論する。

 

「あれがしたい、これがしたいって、思ってて、ー神様からいわれた仕事をいっぱいかかえてたのに、それが出来なくなっちゃうなんて。」

 

やりたいことを、「神様からいわれた仕事」と感じているところが、とても素敵だ。

そんな素敵なことが「女の子に生まれた」という、どうしようもないことで出来なくなってしまうのが悲しいけど、切なさが美しい。

 

五堂は、別れ際にアリスに言う言葉も含めて、男前過ぎる。

これを読んだ少女は100%五堂を好きになるだろうなぁ。

 

そして、そんな五堂が惹かれるアリスも、たまらなく魅力的だ。

 

体育会系の素敵なところって、根が明るいところだと思う。

私の高校のバスケ部のでは「ネアカのびのび」というスローガンが書かれてい担だけど、まさにそういうしかないような性格が、とてもいい。

 

北村薫さんの小説は、というか小説だから、深い考えや気持ちも描かれるけど、アリスの気持ちやセリフには、いい意味で重さがない。

 

すごく面白かった。

題材は野球だけど、野球を知らなくても楽しめる。

梅雨の読書にオススメです。